あらすじ
「君との文通は、今日で終わりにしよう」——三年間、顔も名前も知らない文通相手「蒼」だけが、地味な校閲者・篠宮凛の心の支えだった。年間三百冊以上の原稿を校閲し、作家たちからは密かに信頼されていても、手柄は上司に奪われ、評価されることのない七年間。そんな彼女に届いた、突然の別れの手紙。『僕は君に、嘘をついていた』——その真意を知る間もなく、追い打ちをかけるように告げられた不当な地方左遷。すべてが同時に崩れ落ちたその日、凛は静かに、しかし確かに決意する。「辞表を提出いたします」と。会社を去った凛を待っていたのは、思いがけない出会いと、自分の言葉が持つ本当の力に気づく瞬間だった。「あなたの言葉には、人の心を救う力がある」——蒼が繰り返し伝えてくれたその言葉は、嘘ではなかった。文通相手の正体、隠されていた「嘘」の意味、そして手紙だけで繋がっていた二人の運命が交差するとき、凛の人生は大きく動き出す。なお、彼女を追い出した上司には、しっかり因果応報が待っている模様。地味で目立たない女性が、自分の言葉を武器に新たな人生を切り拓く、再生と恋の物語。