あらすじ
銀河は広い。だが、政治は驚くほど人間くさい。
二十数個の銀河、約200億人が暮らす宇宙。
国家は三百九十を超え、同盟、対立、外交、情報戦が絶えず交錯している。
その中で、民主主義国家として知られるエルデリア連邦共和国は、しばしば宇宙外交の舞台となる中立の国だ。
首都アースガード。
ガラスとCLTで造られた透明な連邦議会の建物の中で、政治家たちは国家の未来を賭けた駆け引きを続けている。
しかし今、エルデリアは大きな岐路に立っていた。
国内では、移民問題や社会の変化を背景に極右政党が台頭し、五年に一度の総選挙が迫っている。
与党は支持率の低迷に苦しみ、野党は政権交代を狙う。
選挙戦は単なる政治闘争ではなく、エルデリアという国家の価値観そのものを巡る戦いになりつつあった。
その一方で、宇宙の情勢も不安定さを増していた。
アルカディア銀河では、銀河帝国と銀河自由同盟が長年の対立を続け、エルデリアの首都アースガードで和平交渉が行われている。
だが交渉の最中、自由同盟の艦隊が帝国領を攻撃するという衝撃的な事件が起き、宇宙は一気に戦争の瀬戸際へと傾く。
さらに、ドラシア銀河では国家崩壊による内戦が続き、難民が銀河各地へと流れ出している。
その受け入れを巡る議論は、エルデリアの政治を激しく揺さぶっていた。
この宇宙で、政治を動かすのは政治家だけではない。
記者たちがスクープを追い、
報道機関が世論を形づくり、
情報は光の速さで広がっていく。
議会の廊下、外交会談の密室、報道局のスタジオ。
そして宇宙艦隊が待機する静かな星系。
そこで交わされる言葉一つが、銀河の均衡を変える。
これは、星々の間で繰り広げられる
権力、外交、報道、そして人間の物語。
宇宙の未来は、戦場ではなく――
交渉のテーブルの上で決まるのかもしれない。