あらすじ
月見坂市にそびえるマンモス校、如月学園高等部。
来月に迫った文化祭に向けて数千人の生徒たちが熱狂の渦に巻き込まれる中、旧市街出身の平凡な高校生・サクタロウは、喧騒から逃れるように旧校舎の図書室へと足を運んでいた。
そこに君臨するのは、如月コンツェルンの社長令嬢にして、特異な『物理的観察眼』と『情動の視座』を持つ天才少女・如月瑠璃。
『ありえない場所にある、ありえないモノ』のルーツ解明にしか興味を示さない彼女の耳に、学園の熱狂を冷ますような奇妙な噂が飛び込んでくる。
新校舎の音楽室。たった一人が立つための指揮台の上に、なぜか『真っ白な医療用包帯でぐるぐる巻きにされた剣道の竹刀』が不自然に立てかけられているというのだ。
それを皮切りに、暗幕の引かれた体育館の高所に吊るされたタイヤホイールカバー、立ち入り禁止の屋上に盛られた謎の紅白の塩など、学園の至る所で本来の用途を歪められた奇妙な遺留品が次々と発見される。
浮き足立つ生徒たちが『ただの悪質なイタズラ』と片付ける中、瑠璃は持ち前の懐中時計で思考を調律し、事象の裏に沈殿した“不器用な誰かの強烈な祈り”の痕跡を辿り始める。
華やかな祭典の死角で、密かに仕掛けられていた巨大な見立てとは?
すべての点と点が繋がった時、瑠璃が冷徹に、そして静かに解き明かす哀しきルーツの正体――。
『如月令嬢』シリーズ第11弾。
喧騒の裏に隠された、切なくも美しい学園ミステリー!