あらすじ
八年間、王子妃教育に心身を捧げてきたエルマ・リリアナスは、婚約者であるハルベルト第二王子から突然の婚約破棄を告げられる。「真実の愛を見つけた」と言う殿下が連れてきたのは、他でもない——エルマの妹、イリスだった。
家の台所事情を誰より知るエルマは、俯いたまま目を合わせようとしない妹の姿に、胸が冷えるのを感じる。しかしイリスは、殿下の言葉に静かに問いを返し、姉への尊敬を胸に、王子の婚約を毅然と断ってみせた。
姉妹二人に完全に退けられた殿下のその後は——哀れなものだったと、社交界はしばらく噂し続けたという。