あらすじ
前世は過労死した社畜OL。
異世界の悪役令嬢に転生しても、白い結婚の裏で学園行事を支える無給の裏方だった。
婚約破棄の日、私は泣かなかった。
満面の笑顔で「ありがとうございます」と告げ、学園食堂の片隅で小さな店を開いた。
看板の名は「社畜亭」。営業時間は放課後から日没まで。残業はしない。
前世の食品化学で作る薬膳スープは、この世界の誰も知らない味がする。
魔力が回復する一杯に、行列ができるまで時間はかからなかった。
隣国から来た銀灰色の髪の王子は、最初の一口で黙り込んだ。
「なんですか、この味は」と問いながら、毎日同じ席に座るようになった。
王子が手放した悪役令嬢の料理を、隣国の王族が「国宝級」と呼ぶ日は近い。
その時、空席だらけの元婚約者の食卓で、誰が何を思うのだろう。