あらすじ
昼下がりの道を、一人の男が歩いていた。
足取りはどこか頼りなく、額には玉のような汗が滲んでいる。苦虫を噛み潰したような表情で、落ち着きなく目をきょろきょろと動かしては、何度目かわからないため息をついた。
中学時代の恩師から久しぶりに連絡があり、自宅に招かれたのだが道に迷ってしまったのだ。
地元とはいえ、ここで暮らしていたのは数十年も前の話。実家は隣町へ引っ越したため、この町に足を運ぶ機会はなかった。駅前はすっかり再開発され、見知った店の面影はほとんどない。見慣れない店やマンションが建ち並び、町並みはどこかよそよそしく感じられた。
それにそもそも、この辺りは当時からあまり来ることのなかった区域だった。