あらすじ

十年前、戦地で死んだと知らされた婚約者。 待ち続けることも、諦めることも終えたはずの春の日、私のもとにひとつの木箱が届く。 差出人に記されていたのは、もうこの世にいないはずの彼の名。 中に入っていたのは、宝石でも勲章でもなかった。 木の髪飾り、少し欠けた白いカップ、香りの抜けかけた小さな花袋―― どれも、かつてふたりで交わしたささやかな約束や、ありふれた日々の記憶につながるものばかりだった。 そして箱の底に残されていた一通の手紙を読んだとき、私は知る。 彼が最期まで忘れなかったものと、帰れないままでも帰ろうとしていた想いを。 これは、十年越しに届いた小さな箱が、 止まっていた時間をもう一度静かに動かしていく物語。

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小説を読もう2026/03/16
  • 現在の作品死んだはずの婚約者の名が、十年後の春に届いた。