あらすじ
母に「行ってきます」を言えないまま、通学路の地下通路で光に呑まれた——。
神奈川県の高校一年生・御影晃、十六歳。臆病で争いを嫌う少年が目覚めたのは、二つの月が浮かぶ戦火の異世界だった。左鎖骨下の痣が古代兵器・機鋼騎兵ヴァルトラウテと共鳴し、戦争の只中にある大国に「唯一の操縦者」として囚われる。突きつけられたのは「乗るか、死ぬか」という選択。
剣も、力も、覚悟すらない。あるのは恐怖と、ゲームで磨いた戦場を俯瞰する眼、そして「誰も傷つけたくない」という非合理的な願いだけ。冷徹な団長、寡黙な技師、最強の騎手——出会う者たちもまた、それぞれの傷を隠して戦っていた。
「俺じゃなくてもよかっただろ」。そう繰り返す少年は、鉄と硝煙の世界で何を見つけるのか。