あらすじ
宇都宮流留には、十数年連れ添った「絶対的な居場所」があった。それは、ぶっきらぼうだが頼れる幼馴染・璃音の隣。
コタツで並んで勉強し、彼の無防備な寝顔を盗み見る。そんな「幼馴染」という名の安寧の椅子に座り続けることが、自分に許された唯一の居場所だと信じていた。
しかし、その平穏は、クラスの華・明日香の積極的なアプローチによって脆くも崩れ去る。
「流留は家族みたいなもの」――璃音の無自覚な言葉は、誰よりも近くにいたはずの流留を絶望の淵に突き落とした。
家族だから、触れられない。
家族だから、意識されない。
明日香という「ライバル」の出現に焦り、ついに流留の理性が限界を迎える。
「負けヒロインなんかになるもんか……!」
積み上げてきた思い出を盾に、そして内に秘めた歪なほどの執着を剣に。
これは、一番近くて一番遠い境界線を越えようとする、少女の「奪還」の物語。