あらすじ
あらすじ
長野県の山奥にある高級別荘で秘密裏で行われる出版企画があった。
『1ヶ月のカンヅメ生活』
表向きは7人の作家たちがこの館内で1ヶ月以内にオリジナル小説を執筆するというモノであった。しかしその裏では、AIを使わずに物語を書くことで、人間の作品だという出版社から保証される企画ではあった。
AI時代の出版物には生成AIが使われているという話が広まり、本や電子書籍が売れなくなる出版大不況時代を迎えていた。その疑惑を拭おうとするある出版社の企画に同意し、7人の作家がAIのない館、奏鳴館へとやってきた。
ところがひとりの作家がこの企画を辞退した。ホラー作家、姉川鬼人はこの館に入館せず、残りの作家たちがこの館で1ヶ月間過ごすこととなった。
スマホを手にしてAIを使えば即退館という創作ルールの中、スマホを持ち込んだルール破りの作家が現れた。作家たちはこのルールを破った作家と論戦したが、SF作家の伊吹セカイは彼によって、心をつぶされた。
AIを使いこなす作家に追い込まれる作家たち、そんな中、ある人物が姿を現した。AI作家ハンターだった。
──AI時代のヒーローこと、『AI作家ハンター』。この世界の物語を救う存在。
AI作家ハンターはAIのない館でスマホを使ったこの作家を『AI作家』として断罪した。
館の外ではAIクリエイター暴露系動画投稿者の仮刈が、1ヶ月のカンヅメ生活の真実をバラし、次々と動画を投稿し、投票型ハントゲームと称して、動画視聴者を徐々に増やしていく。彼らはこの館にAI作家がいることに期待し、この館にいるすべての作家がAI作家ハンターに処刑《ハント》されるストーリーを求めた。
この館では誰も死なない。
暴力も行われない。
──でも、平和ではない。
作家たちは姿を見せないAI作家ハンターに狩られる恐怖に怯えて、だんだんと追い詰められていく。
ミステリー作家、黒染まゆみ。
マーダークイーンの二つ名を持つ若き女流作家があることに気づく。
──ヒトを傷つけず、法を犯さず、人間という存在を殺す。
法ではどうにもならない合法的快楽殺人鬼がこの館にいた。
……“外”の物語に乗ってはいけない。
黒染まゆみはこの館にいるAI作家ハンターを特定しようと館内を奔走する。
──チェックアウトはいつでもできる。
だが外に出れば撮影され、スマホを握られた自分の生成AI画像がネット上に現れる。
──自分の存在がAIと同じだと世間に認識される。
それがこの時代における人間の死だ。
AIのない館はまさしくリアルクローズドサークル、作家たちはそこから無事逃げ切れるのか?
AI時代のホラーミステリーが今開館します。
殺人のない館への入館者を募集します。
【登場人物】
・ 奏鳴館へと来た作家
黒染まゆみ:ミステリー作家。次世代のマーダークイーンと呼ばれる若き女性作家。毒舌で皮肉屋でクールな美人。しかしカノジョはヒトには理解されない奇癖を持つ。23。
伊吹セカイ:SF作家。SF小説の新人賞を受賞した新人作家、冷静沈着だがSFの将来に不安を抱えている。25。
やまもとなお:恋愛作家。文字つきショート動画で注目を集める女子高生作家。長編小説を書こうと思い、この館へと入館する。17。
イカロスパスタ:ネット小説作家。ネット小説サイトなどで活躍するザマー系ゲームファンタジーを得意とする作家。AIチートは許さないという信条の下、この館で物語を執筆する。21。
直方一進:大衆小説作家。時代のトレンドを取り入れて世間が求める作品を書く作家。そのため、AI時代においてAIを使ってネタ収集することは必要だと考えている。28。
氏家桐枝:歴史作家。その土地にあった過去の記憶をよみがえらせる歴史小説作家。真面目で律儀な性格。AIのない館で作品を書くことで、自分の手で物語を書いたという証明を求める。27。
姉川鬼人:ホラー作家。黒マスクの地雷系女子。スマホで会話し、あまりしゃべらない。物語の創作欲は誰よりも強く、どんな場所でも物語を作る作家である。AIのない館の入館を拒否した。
・ 奏鳴館の入館者
岩永編集者:1ヶ月のカンヅメ生活で作家たちをサポートする編集者のひとり。普段は温厚だが、調子に乗りやすい。最近、仕事に慣れてきた新米編集者である。
田原編集者:もうひとりの編集者。生真面目で作家との距離感をわきまえている。岩永の成長を見守りつつ、大事な場面では仕事を買って出る中堅編集者。
鹿部代護:奏鳴館の男性スタッフ。物語を作る作家と一緒に仕事をすることで、ふらふらしている自分を見つめ直したいと話す。
外浦すみか:奏鳴館の女性スタッフ。大学の夏休みを活かして、作家がどうやって話を作るのかと興味を持ってやってきたふつうの女子大生。
・ その他
冴島編集長:1ヶ月のカンヅメ生活を企画した人物のひとり。AIのない館で本を書けばそれは人間の本だと言うアイデアをカタチにした。この企画は秘密裏にし、本を出版するときにその事実を公表する予定だった。
仮刈:AIクリエイター暴露系動画チャンネル『狩り狩りドクター』の運営者。サングラスをしたスリムな男性。生成AI汚染によって人間の物語が失われたという信条の下、AIを使った作品とクリエイターを暴露という手段で断罪する。
AI作家ハンター:AI時代の人間の物語を守る人物。生成AIがある作品を探し、AI判定をする。AIのない館でAI作家がいないか調査に来て、AI作家をハントした。
・ 注意書き
この物語はフィクションです。
実在のものとは一切関係ありません。
この物語におけるAI作家とAI作家ハンターは創作された架空の人物です。