あらすじ
伯爵令嬢リディア・フェルナーは、婚約者から「君は地味で、面白みに欠ける」と婚約破棄を告げられる。
王都で求められていたのは、社交界で映える華やかな令嬢。けれど彼女が本当に得意だったのは、魔道具を“使う人に合わせて整える”ことだった。
傷心のまま王都に残るのではなく、リディアは祖父の遺した辺境の老舗工房を継ぐことを決意する。
冬の厳しい辺境都市フェルクで、古参職人マルタや見習いノアとともに工房を立て直していくリディア。
彼女の作る魔道具は派手ではない。けれど、疲れにくい、壊れにくい、少ない魔力で動く。そんな“使う人を困らせない道具”は、少しずつ町の人々と辺境騎士団の信頼を集めていく。
やがて彼女の仕事は、王都から来た英雄たちさえ救うことになって――。
これは、恋を失った令嬢が人生を失うのではなく、
自分の居場所と仕事を取り戻し、静かに評価を塗り替えていく物語。