あらすじ
告白してきた彼から逃げた夜、私は川へ向かって歩いていた。
もう生きることに疲れていたからだ。
スマホの地図を頼りに歩くうち、奇妙な違和感が生まれる。
地図の文字がすべて鏡のように反転しているのだ。
気味の悪さを感じながら進むと、街の様子が次第に歪み始める。
看板の文字はすべて逆向き、人々は後ろ向きに歩き、時計は逆回転していた。
ここは現実なのか、それとも境界の向こう側なのか。
さらに足元を見ると、自分の影が自分とは違う動きをして手招きをしていた。
恐怖の中、私はポケットの手鏡にスマホの地図を映す。
その瞬間、世界が弾けるように元へ戻る。
気づけば私は公園のベンチに座っていた。
死ぬつもりだったはずなのに、胸は激しく鼓動している。
私は初めて思った。
――まだ、生きていたい。