あらすじ

『私は弟のために生まれたんじゃない』

—搾取子と呼ばれた私が、弁護士になってすべてを取り返すまで—

お姉ちゃんなんだから、と
何度言われただろう

あなたは弟を助けるために生まれてきたのよ、と
何度教え込まれただろう

欲しいものを口にする前に
それは弟のものになり

行きたかった場所を夢見る前に
その夢は贅沢だと叱られた

大学の門の前で
私は立ち止まり

母の言葉を
自分の運命のように飲み込んだ

あなたは強い子だから
我慢できるでしょう

その言葉の裏で
私の人生は少しずつ削られていった

給料も
時間も
未来も

全部

「家族のため」という
美しい名前の鎖で

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でも

私は知っていた

静かな夜の机の上で
一枚ずつめくる条文のなかに

誰にも奪えない
私の武器があることを

泣かないことが強さじゃない
耐えることが正しさじゃない

事実は言葉になり
証拠は盾になり
法は刃になる

長い年月をかけて
私はそれを手に入れた

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ある日

同じ口が言った

お姉ちゃんなんだから
弟を助けなさい

そのとき私は
はじめて微笑んだ

もう知っていたから

私は
弟の人生の責任者ではないことを

母の期待の器でも
誰かの犠牲でもないことを

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私は黙って
一枚の書面を差し出した

そこに書かれていたのは
怒りではなく

叫びでもなく

ただ

事実と
条文と
私の名前

弁護士 朝倉紬

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その瞬間
長い長い鎖が
音もなくほどけた

私はようやく知った

奪われた時間は戻らない
消えた夢も戻らない

それでも

これから先の人生は
まだ私の手の中にある

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だから私は言う

誰にも
もう奪わせない

私は
弟のために生まれたんじゃない

私は

**私のために生まれてきた。**

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アルファポリス
アルファポリス2026/03/16
  • 現在の作品『私は弟のために生まれたんじゃない』 —搾取子と呼ばれた私が、弁護士になってすべてを取り返すまで—