あらすじ
王都で工学学院に通うマレナは、港町ヴァレスト出身で造船を学ぶ学生。
春、画家ロレンツォの個展で、地元の造船ギルドの先輩セルジオが設計した船〈グラン・ソ―ニョ〉に絵で再会する。それは、自分の目指す夢の手前にある、憧れの船だった。
その後、学院でノエラ、フェリアと夢を語り合った矢先、ロレンツォとセルジオから一通の手紙が届く。
入学前にマレナが設計していった小型観光船の完成の知らせだった。
二年目の夏休み、帰省した故郷で待っていたのは、自分の初めての船〈デルフィニウム〉の進水式。マレナの実家が観光船として運用することになっていた。
そして、先輩セルジオとの再会。
「お前の初めての船、誰にも渡したくなかった」
夏の海、自分の初めての船の上で、セルジオの思わぬ独占欲に、マレナも憧れだけではない気持ちに気づきはじめる。
船と、二人の想いが、静かに形になり始める。