あらすじ
私、**坂城明日香(さかき あすか)**はどこにでもいる普通の高校一年生。生徒会執行部の一員として学校の仕事を手伝いながら、友達と笑ったり、勉強に追われたり、そんな平凡だけど楽しい高校生活を送っている。
そんな私の毎日に欠かせないものがある。
それは音楽。
特に大好きなのが、今若い世代の間で大きな人気を集めている覆面バンド、メモリア・コード。メンバーは全員正体不明で、ライブでは必ず狐の面を着けている。顔も名前も明かされていないのに、彼らの音楽は不思議なくらい多くの人の心に響いている。
その中でも、私が一番好きなのがギターボーカルの
Thous(サウズ)。
優しい歌声と、どこか切ない歌詞。
初めて曲を聴いたときから、私はすっかりその音楽に惹き込まれてしまった。
でも、私にとって大切なのは音楽だけじゃない。
私には、中学二年生の頃から付き合っている彼氏がいる。
小柴千都世(こしば ちとせ)。
私は彼のことを「ちと」って呼んでいる。
ちとは私とは別の高校に通っていて、落ち着いていて優しくて、少し不器用だけど、とても大事にしてくれる人だ。ただ、学校を休むことが多かったり、急に予定が変わったりすることもあって、会える時間は決して多くない。
それでも私は、ちとと過ごす時間が好きだった。
そんなある日、私の通う高校で文化祭の準備が始まる。生徒会の会議で、冗談のような一言がきっかけになった。
「メモリア・コード呼べたらヤバくない?」
最初は笑い話のはずだった。
でも、生徒会は半分ノリのまま、本当にそのバンドに出演オファーを送ることになる。
そして――
信じられないことに、そのオファーは受け入れられた。
突然決まった、人気バンドの文化祭ライブ。
盛り上がる学校。
夢みたいな出来事。
だけどその頃から、私の周りでは少しずつ不思議なことが起こり始める。
うまく合わない予定。
ふと感じる違和感。
そして、どこかでつながっているような気配。
やがて迎える文化祭当日。
狐の面を着けたメモリア・コードがステージに現れ、ライブが始まる。
音楽と秘密。
そして恋。
青春の中で鳴り響く「音」が、少しずつ私の知らなかった世界を連れてくる。
これは、私の高校生活と音楽、そして大切な人との時間が重なっていく中で、少しずつ動き出していく青春の物語。