あらすじ
23歳新米化学教師・榊原誠の教員人生は、のっけからのハードモードで幕を開けた。
「炭素の原子量は”10”ですよ、先生」「酸化銅の化学式はCuO”2”じゃないですかー?」「さかき先生、0℃は”283”Kっすよ」「また間違えてますよ先生、電子殻は”外から”K、L、Mです」
自分の化学教師としての根幹を成す知識に次々と穴が開き、訳も分からないままに採点修正に追われる日々。さらに時折頭を突き刺すエグめの痛み。
文字通り頭がおかしくなるような世界の中で、完全に心折られた彼の前に一人の女子生徒が現れる。
「実は私、現実を書き換えられるんです」
「もしこの力のことが他人に知られてしまったとばれたら、私は命を取られてしまうんです」
「このことは、私と先生だけの秘密にしてください」
教師としての矜持にかけて、榊原誠は立ち上がる。一人の教え子の決意に応えるために。
───全て当該女子生徒・木原香織の手のひらの上であることを、ただの新米化学教師に過ぎない彼が知るよしもなかった。
※あまり化学の要素は出ません、ご了承ください※