あらすじ
世界線は修復された。
その代わりに、一人の存在が消えた。
時間修正機構――“ワーム”と呼ばれる異常が、世界の未来を蝕んでいた。
転移痕を持つ青年アレンは、その脅威に唯一対抗できる“特異点”として選ばれる。
研究者レイナ、未来から来た科学者ハルベルトと共に、
三人は崩壊する時間の中心へと向かう。
世界を救う鍵は、アレン自身の存在だった。
そして彼が核を破壊した瞬間、
世界線は静かに再構築され、
アレンという名前は“最初から存在しなかった”ことになる。
本来の時間軸へ戻ったレイナは、
記憶のどこにもアレンを見つけられない。
それでも胸の奥には、説明できない痛みだけが残っていた。
夕暮れの研究所の公園。
風に揺れる若い木々の下で、
レイナは空いたベンチの隣に、
“誰か”の気配を探してしまう。
世界は救われた。
だが、その未来を守った者の名を知る者は、誰もいない。
『消失特異点 ――再構築された世界線の片隅で』
静かに世界を救い、静かに忘れられた者の物語。