あらすじ
「……ん……え?」
目を覚ましたおれは、ぎょっとし、喉の奥からかすれた声を漏らした。いや、まず自分が眠っていたこと自体にも驚きだったが、それ以上に、目に映る光景がまったく見覚えのないものだったのだ。
床も壁も天井も、すべて剥き出しの土。呼吸するたびに、湿った土とカビのような匂いが鼻腔にまとわりつく。頭上には裸電球が一本、細いコードにぶら下がっており、わずかに揺れていた。
そして何より――おれは椅子に縛りつけられていた。
胴体、手首、足首。麻のロープが何重にも巻きつけられ、雑に結ばれていた。少し身じろぎするだけで、繊維が皮膚を擦り、じりっとした痛みが走る。