あらすじ
下駄屋の一人息子、町田士緒(まちだしお)は東京の大学に通う十八歳。
士緒は、下駄作りの工程の中で鼻緒をすげる作業を好んで行っている。
下駄一筋な士緒だが、懐が深い雰囲気のせいか、色々な人から相談事を持ち掛けられる。
「花すげり——それは、縁結びのお仕事です」
幼き頃に着物屋の店主門倉(かどくら)からもらった言葉を胸に、バイト先、友、恋人、土地……いろいろな縁を繋げていく。
しかし彼の共感や励ましは、どこか作り物で、他人に興味がないとまで言われる。本人は、絹のような人を目指しているからだと言うけれど、幼馴染の真理(まり)は知っている。
違和感の根源が『絶対に結ばれない縁』にあることを。
士緒の隠し事と、門倉が信じた「花すげり」の力の行方は——。
三十四にまつわる、和の日常に咲く、縁と奇跡の物語。