あらすじ
西暦二〇四二年、帝都「大和」。聖宝律令院による「最適化」によって市民の負の感情はデリートされ、その「悲しみ」は都市を輝かせるエネルギーとして搾取されていた。元編纂官の先川原千萩は、システムの監視が届かない地図上の空白地帯「データ国分寺」で、一枚の古いレシートを守り続ける老婆・実居と出会う。そこは、更新され続ける世界で唯一「変わらない場所」だった。だが、律令院の執行官でありかつての師・彌山朔楽が、その聖域を抹消すべく現れる。デジタルな虚構と、物理的な傷跡としての真実が激突する、和風サイバーパンク。