あらすじ
大学二年の夏、景司はリュックひとつで貧乏旅行に出る。宿代を節約するため夜汽車に乗り、友人たちの帰省先を泊まり歩くのだ。木造駅舎のホーム、湯気の立つ待合汁、行商人の背中、星降る山里、潮の匂いの港町、それぞれの土地で、彼は友の「帰る場所」と「背負うもの」に触れる。町を継ごうとする者、家族を守ろうとする者、仕事を背負い続ける者。皆が何かを選び始めている中、景司だけはまだ何者でもない。しかし夜汽車の揺れの中で、彼は気づく。背負わない時間もまた、かけがえのない贅沢なのだと。自由と不安の狭間で揺れる、ひと夏の青春ドラマ。