あらすじ
紀伊の山あいにある祖母の家を片付けに来た高校生・朝霧透。
納戸で見つけた古い革のバッグを開いた瞬間、空気が変わる。
その鞄は「精霊郵便バッグ」。
強い想いが手紙となって自然の中に現れるこの世界で、
それを見つけ、届ける者――
精霊郵便配達人の道具だった。
透の前に現れたのは、祖母の相棒だったという白狐の精霊ハク。
バッグが反応し、庭の椿の木の下に一通の手紙が現れる。
触れた瞬間、透の目に流れ込んできたのは、海で亡くなった父親の想いだった。
「海を嫌いにならんでくれ」
その言葉を、港町で父を亡くした少年へ届けたとき、
透は知る。
この世界には――
まだ届いていない想いが、無数にあるということを。
人から人へ。
精霊から人へ。
そして、届かなかった想いから生まれる怪異――空封。
祖母が残したバッグと共に、
透は紀伊の森と海を巡りながら、
想いを届ける旅を始める。
これは、
言えなかった言葉を届ける物語。