あらすじ
剣も魔法も使えない僕は、田舎町で帳簿をつけて生きていく――はずだった。
ところが徴募で回ってきた辞令は「軍属書記官」。しかも配属先は、いま大陸で最も危険な戦域だった。
仕事は安全な後方で記録を取るだけ、のはずが、なぜか僕の行く先々で会戦が起こる。砲弾は飛ぶし、将軍は死ぬし、作戦は毎回ひっくり返る。気づけば僕は、常勝の天才“兵隊王”と“不敗”と呼ばれる老将、二人の怪物が激突する戦争のど真ん中に立たされていた。
僕にできるのは、逃げ遅れながらメモを取ることだけ。
勝利の報告、敗北の言い訳、英雄の演説、そして誰にも残されない死。
これは、剣を持たない一人の書記官が、百年続いた戦争が「別のもの」に変わっていく瞬間を、最前線の端っこから書き続ける物語。
――歴史に残るのは英雄だ。でも、歴史になる前の戦争は、だいたい地獄だった。