あらすじ
「洋上の楽園」と謳われる最新鋭フェリー、ブルーガルーダ号。
高校生活最後を飾る修学旅行。水江櫂は、浮き足立つクラスメイトたちの狂騒から距離を置き、愛用のカメラで船内の風景を切り取っていた。
しかし、そのレンズは「見てはいけないもの」を捉えてしまう。喫水線を超えて積み込まれる異常な量の貨物、そして夜の海で音もなく接近する「正体不明の影」。
――衝撃。
深夜の海上で発生した原因不明の衝突。傾き、悲鳴を上げる巨大な船体。
船内放送は「その場で待機してください」という呪文を繰り返し、大人たちは生徒を置き去りにして消えていった。
浸水する密室。刻一刻と失われる友の命。
櫂は、恐怖に震える手でシャッターを切り続ける。これが、自分たちがここにいた唯一の証拠になると信じて。
沈みゆく「黄金の翼」の中で、少年たちが最後に見た真実とは。
そして、荒れ狂う波の向こうから、一筋の光――海上保安官の影が差し込む。
命の選別を迫られる極限の救出劇が、今、始まる。