あらすじ
父・伸二は言葉より行動が先に出る男だった。娘・結華は素直に言葉を受け取れない少女だった
妻・遥がいる間は、それでよかった。遥が翻訳してくれた。父の沈黙を娘に、娘の反抗を父に。その架け橋が突然消えて、父と娘の言葉は互いに届かなくなった。そして娘は家を出た
父は七百日間毎晩歩いた。届かないと知りながらメッセージを送り続けた。それでも見つけられなかった。
再開した歩道橋の夜、ようやく娘を抱きしめた。落下しながら、一言も出てこなかった。
気づけば異世界にいた。十八歳の体で、剣一本持って。
同じ世界のどこかに結華がいる——神はそう言った。
容姿を変えた娘を探しながら、男はFランク冒険者として剣を振る。
父は娘の正体に気づかない。 娘は父の正体を知っている。それでも離れられない。
これは、言葉が届くまでの、父と娘の物語。