あらすじ
ITエンジニアをしている佐伯。
彼と身体がぶつかり、スマホを落としたことで知り合ったのは、ホストの快人。
長い前髪で目を隠し、誰からも隠れるように生きてきた、自信のない佐伯と。
ブリーチを繰り返した明るい髪で、芸能人のように整った容姿、人好きのする性格の快人。
見た目も、中身も、まるで正反対なふたり。
共通点のない彼らは、惹かれ合うように友だち付き合いを始める。
趣味は動画を見ることと、完全にインドアな佐伯。
夜の仕事をしながらも、散歩が趣味だという快人。
快人の隣を、自信を持って歩きたい。
今の自分を変えたいと願う佐伯が1歩を踏み出したことで、物語の歯車が回り出していく。
他社の商品で起きた情報流出事件が、佐伯の実直な仕事ぶりを、会社に認められるきっかけとなり。
佐伯の実生活も、順風満帆になっていくように思えた。
そんな中。
映画を観ようと誘った佐伯は、快人の横顔に、諦めと寂しさを見つける。
明るい笑顔の持ち主の裏側を垣間見て、佐伯は快人に抱く気持ちが友情でないことに気づき、嫉妬で傷つけてしまうことを恐れる。
ちょっとした嘘をついたことで、ギクシャクし始めたふたりの関係は、少しずつすれ違い。
やがて、快人が抱える、過去のトラウマに迫っていく。
実父の訃報をきっかけに、姿を消す快人。
心配した佐伯は、快人の自宅を訪れる。
そこで佐伯が見たのは、すっかりやつれ切った快人の姿だった。
壮絶な過去を明かす快人に言葉を掛けられず、ひたすら、泣くことしかできない佐伯は。
こんなときでさえ笑おうとする快人の姿に居た堪れなくなり、キスをした。
それがきっかけで、交際を始めるふたり。
快人は少しずつ元気を取り戻し、仕事にも復帰したものの。
実は、以前のような接待ができなくなっていた。
それを知った佐伯が店に赴いたとき。
快人は、ホストを辞める選択をする。
アパレル業に転職した快人と佐伯の交際は、今度こそ、順調に進んでいるように見えたが。
職場の女性の先輩から言い寄られ、断ったことをきっかけに、きつく当たられて悩んでいると快人が打ち明けたことで、再び陰が差す。
佐伯が、快人のホスト時代の先輩に相談したことで、求人の出ている職場を紹介される。
そこは、元キャバクラ嬢が社長を務める、アパレルショップだった。
アパレルショップ社長とふたりが飲み会をした、帰り道。
快人からある決意を打ち明けられ、佐伯は繋いでいた手を離した。
ふたりで、ちゃんと、生きていきたい。
それは、快人の覚悟だった。
そうして迎えた年末。
佐伯は実家へ、快人を連れて帰省する。
迎えた両親の朗らかさに戸惑う快人と、彼をフォローする佐伯の、温かな団欒。
佐伯の家族に拒まれることを恐れ、身体を強ばらせる快人に。
戸惑いを隠せないながらも、佐伯の母が告げた言葉とは──。
これは、深く傷ついたふたりが、寄り添い合うことで傷を癒し、立ち直っていく物語。
「今度、なにか、お揃いのもの、見に行きましょうか」
「食器にしよう」
ふたりが永遠を誓えるまでの、再生譚。