あらすじ
西暦2391年。
人類はついに、宇宙を「発見する」ものではなく、「構成された証明」として理解し始めていた。
重力波観測網《ケプラー環》が見つけた奇妙な離散性。
そこから導かれた新理論《構成宇宙論》は、素粒子も時空も、巨大な形式体系の一部にすぎないと示してみせる。
だが、その先で研究者たちを待っていたのは、ゲーデル以来知られる最悪の問いだった。
――この宇宙の無矛盾性は、宇宙の内部から証明できるのか。
月の裏側の研究所で、数理論理学者・真壁蒼は、天才数学者レイナ・室井とともに宇宙の「証明」を読み解いていく。
しかし理論が完成に近づくほど、世界は不穏な姿を見せ始める。
もし知性が宇宙を完全に理解したとき、この宇宙そのものが次の“圧縮”へ進むのだとしたら――。
これは、人類が真理に到達した瞬間、世界の定義そのものが揺らぎ始める物語。
数学と物理、証明と存在、記憶と同一性の果てに、宇宙は最後に何を残すのか。