あらすじ
『パーティ唯一の前衛の死体は蘇生されなかったが、残された仲間意気揚々と教会を出発した。いったいなぜか?』
四人パーティ唯一の前衛、タンク役を務める重装騎士アームストロングは、教会の地下にある遺体安置室で嘆き、思い悩む。蘇生されることなく一時預かりになった死体が並ぶ場所、そこにどうして自分の入った棺桶があるのか。
しかし、その懊悩の原因は自らの死という事実そのものにはなかった。問題は、そこに生じる謎だった。
教会に運ばれた死体がすぐに蘇生されない一番の要因は、お布施という名の蘇生費用をパーティメンバーたちが払うことができないため。
だが、パーティ唯一の前衛である自分が欠ければ、残る仲間たちはクエストを受注しその費用を稼ぐことができない。資金を増やすための資金がない、という詰みの状況。冒険者としては絶望的な状態だ。
しかし、そんな状況にあるはずの仲間たちは教会を出る時に笑っていた。魂だけになったアームストロングは、彼女たちの明るい声を確かに聞いていたのだった。
自分の死体を巡る不可解な状況。仲間たちは、どういう意図を持ってどんな選択をしたというのか。
棺桶の並ぶ遺体安置室にて、重装騎士は居合わせたふたりの人物とともに解釈の可能性を突き詰めていく。