あらすじ
福島県三春町。日本三大桜の一つ「滝桜」を抱くこの地には、大化の改新を遥か遡る古(いにしえ)より、決して逃れられぬ血脈の因縁が澱(よど)のように溜まっていた。
会社員の徹は、家族に隠れ、ある決意を胸に三春の古社へと向かう。そこで見つけた古びた過去帳には、自分と、かつての愛人・順菜の名前、そして再会したあの日付が記されていた。
影山の子孫が、過越しの年に三春で恋に落ち、過去帳に名が刻まれる。
三つの条件が揃ったとき、物語は「論理的帰結」という名の破滅的な成就へと加速する。
突如として社を包む青白い焔。炎の中に消えた女は、うっとりとした表情でこう呟いた。
「梅桃(うめもも)に、桜三春、業火(ごうか)かな……」
一〇三章に及ぶ、血と火の叙事詩。
これは終焉か、それとも神による選別か。三春を灰に変える「炎の剣」が、今、振り下ろされる。