あらすじ
木星外縁から届いた信号列は、誰の目にも素数列に見えた。
それは人類にとって、宇宙に知性が存在する決定的な証拠だった。
だが異星知性《環海体》との対話が始まると、研究者・志村伊織たちは奇妙な壁にぶつかる。
彼らには「一つ、二つ、三つ」と数える感覚そのものが乏しく、足し算や掛け算でさえ、人類のようには通じなかったのだ。
沈黙を恐れない対話窓口《残響17》との交流のなかで、志村はやがて知る。
人類が普遍だと思っていた数学は、静かな世界にだけ育つ、美しくも局所的な建築かもしれないことを。
そして木星から来たあの“素数”こそが、二つの文明を結びつけ、新しい知性を生み出す鍵だったことを。
数学と誤解から始まる、静かなファーストコンタクトSF。