あらすじ

菜虫化蝶(なむしちょうとかす)

昨日まで食べていた
苦いだけの葉っぱを捨てて
私は 窮屈な沈黙の中に籠もる

誰の目にも留まらない
保護色の制服
「普通」という名の 分厚い繭を
自分の周りに 幾重にも巻きつけて

心臓の音だけが
ファインダーのシャッターみたいに
規則正しく 未来を急かしている

暗闇の中で
私の背中は ひっそりと熱い
折りたたまれたままの 頼りない羽根が
外の光を 思い出そうともがいているから

さよなら 地を這っていた昨日
私はもう 誰かの背景にはならない

春の風が 繭の端を揺らすとき
震える足で 空を蹴る
色鮮やかな痛みを 引き連れて

私は 私の光を纏い
一枚の 新しい地図になる

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アルファポリス
アルファポリス2026/03/14
  • 現在の作品「菜虫化蝶(なむしちょうとかす)」