あらすじ
仕事に疲れきった会社員Aさんは、退職を決意し「退職代行」に依頼する。しかし電話に出たのは、社員の退職を阻止する謎のサービス「退職代行拒否代行 まだ舞える」だった。退職させたい側と働かせたい側の攻防が始まったその瞬間、電話回線には次々と奇妙な代行サービスが参戦してくる。
ボーナスを確保させる「ボーナス獲得代行 ボーナスビックやで」、在職中に転職を進める「転職活動代行 こっちでやりなされ」、働くこと自体を放棄させる「ニート代行 ワイを養ってくれ」、何もしない働き方を勧める「窓際社員代行 エクセル開く閉じ」、自由な働き方を説く「自称エリート個人事業主 スタバMac」、港区の夜で稼ぐことを提案する「パパ活代行 港おじがり」。Aさんの人生を巡り、八つの代行会社が電話越しに戦いを始める。
しかし当のAさんは、その騒動をよそに会社のパソコンでExcelを開き、人生の選択肢を表にまとめていく。「退職」「転職」「ニート」「フリーランス」「パパ活」「会社残る」。それぞれのメリットと面倒さを整理した結果、彼が辿り着いた答えは意外なものだった。
それは「会社で寝る」。
そして彼は、さらに一つのサービスに電話をかける。「出社代行 今日ワイが行っといた」。会社には代わりに誰かが出社し、自分は自由な時間を手に入れるという奇妙な最適解が完成する。
退職も、転職も、働くことも、すべてを代行に任せる時代。Aさんはついに「代行バトル」というコンテンツそのものを作り出してしまう。
果たしてこれは、人生の逃避なのか、それとも現代社会における究極の合理化なのか。
一人の会社員と、八つの代行サービスが繰り広げる、奇妙で滑稽な人生戦略コメディ。