あらすじ
大陸の勢力図において、その場所は「空白」とされていた。北方の最果て、雪深いエルム村。そこが今や、どんな軍勢も踏み込めない大陸最高の「聖域」と化していることを、まだ誰も知らない。
村に住む無口な木こりログの正体は、大戦時に「氷の絶望」と恐れられた元・帝国特殊工作部隊の超一流工兵である。古代遺物(オーパーツ)を操り、単身で戦況を塗り替える「動く要塞」だった彼は、凄惨な戦場を捨て、一人の少女を連れて軍を脱走した。戦火の跡地で出会った、自分の指を無邪気に握りしめた小さな命――ルカとの静かな日常を守るために。
ログはルカという「陽だまり」を戦火から遠ざけるべく、村を密かに作り替えていく。薪割り台は高感度センサーに、防風林は認識阻害の結界に。相棒の偵察鳥チッチが空から監視を続け、ルカの周囲に不穏な影が差すことを一瞬たりとも許さない。
だが、彼の圧倒的な技術を求め、世界が再び動き出す。かつての戦友や隣国の諜報員、そして凶悪な魔獣。ログは愛する娘に過去を悟られぬよう、「不器用な父親」を演じながら、これらを軍事レベルの超技術で秘密裏に、かつ徹底的に排除していく。
「ぱぱ、きょうも平和だね!」と笑うルカの背後で、ログは音もなく脅威を灰にする。これは、冷徹な兵士が捨てたはずの力を「たった一つの陽だまり」を守るための盾として振るう、鉄壁の守護と家族の絆の物語。