あらすじ
「――すごいエーテルの乱れだな。半端者なら即酔って退場だ」
二百年の時を生きる魔女の儀式を、少年の放った「論理(ロジック)」が粉砕した。
少年の名は、カイナ。
かつて最強の賢者と謳われながら、ある『祝福』によって十二歳の姿で時間が止まってしまった男。
彼は世界の根幹『深層(アビス)』の鍵を握る少女・レティアを連れ、理不尽な運命をデバッグするための放浪を始める。
だが、世界(システム)は彼を逃がさない。
カイナを捕縛するために組織された「ヴァルクレイン捜査本部」。その長に就任したのは、かつてカイナと共に「双子の凶星」と恐れられた相棒、ナナキだった。
「カイナ。……君を正しく捕まえるために、僕が世界を騙してあげよう」
表向きは冷酷な追跡者を演じ、裏では権力を駆使して「バグ」である親友を支援するナナキ。
そんな彼の「嘘」を嗅ぎ取るのは、学生時代の二人を知る実務派の魔術師、アリステラ。
さらに、逃亡を続けるカイナたちの前に、最強の刺客が立ちふさがる。
それは、かつてカイナが「自分を殺せる天敵」として丹念に育て上げた唯一の弟子――『猟犬』へと改造されたルカだった。
師弟の決別、相棒の策略、そして世界を記述し直す鍵を秘めた少女。
三人の因果が交差する時、世界の仕様書(コード)は書き換えられる。
これは、不自由な祝福を捨て、人間として老いて死ぬ権利を取り戻すための、論理と泥にまみれた「世界変革」の記録。