あらすじ

「どうせ数日もすれば、泣き言を言って逃げ帰るんだろう」 魔力を持たず、愛人の娘として公爵家で虐げられてきた令嬢・ルシア。 「無能な厄介者」として魔獣ひしめく辺境の黒狼騎士団へ追放された彼女を待っていたのは、王都の貴族を憎む氷の副団長・クラウスからの理不尽な冷遇だった。 「真冬の井戸水で、騎士たちの汚れたマントを洗え。魔法は使うな」 凍えるような猛吹雪の中、魔力による防壁もないルシアは、薄着のまま黙々と冷水に手を浸し続ける。 叩かれても、理不尽な命令をされても、彼女は決して泣き言を言わない。幼い頃から『何も望まず、心を殺す術』を身につけていたルシアは、ただ静かにすべてを諦めていた。 しかし、文句一つ言わずにボロボロになっていくルシアの静かな微笑みは、次第にクラウスの心をざわつかせ、正体のわからない苛立ちへと変わっていく。 そして数日後。限界を超えたルシアが雪の中で倒れた時――氷のように冷酷だったクラウスは、ルシアの赤黒く腫れ上がり血の滲んだ両手を見て、激しい絶望と後悔に打ちのめされる。 「俺が間違っていた……! だから、死ぬな……!」 目を覚ましたルシアが「お仕事が終わっていなくて申し訳ありません」と謝罪した瞬間、彼の理性が完全に吹き飛んだ。 これは、すべてを諦めきった透明な令嬢と、取り返しのつかない過ちを犯してプライドを粉々に砕かれた不器用な騎士の、すれ違いと激重な溺愛の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/03/13
  • 現在の作品魔力なしの日陰者と蔑まれ、辺境に捨てられた令嬢は何も望まない。〜私を憎んでいた氷の副団長様が、血だらけの私の手を見て人が変わったように溺愛してくるのですが〜