あらすじ

帝国と魔王軍の熾烈な戦争が続く世界。エルダ砦の防衛戦で、絶望的な状況から奇跡的な生還を果たした青年・アレンは、帝国を救う「神の使い」「聖剣の英雄」として祭り上げられます。しかし、絶え間ない殺戮と仲間の犠牲という「泥濘」に塗れた英雄の称号は、アレンの心身を深く蝕んでいました。 物語は、英雄としての重圧に耐えるアレンの歩みを軸に、彼を支える宮廷魔術師エリス、影から情勢を冷徹に操る情報官ゼクス、戦場の現実を知る老将兵バルガスといった複数の視点によって、戦争の狂気と人間模様を描き出します。帝国軍はやがて魔王領最深部へと進軍し、ついに魔王城での最終決戦の幕が開きます。 魔王城の玉座の間で、アレンはついに宿敵を討ち果たします。しかし、彼は勝利の栄光を享受することを選びませんでした。自分を「都合の良い神様」として利用しようとする帝国の思惑を見抜き、国を救ったはずの聖剣をゴミのように投げ捨てて失踪します。崇高な「神」の座を捨て、一人の「人間」に戻ることを選んだのです。 終戦後、帝国の威信を守るためにゼクスら情報部が「英雄アレンは魔王と相打ちになり戦死した」と歴史を書き換える中、本物のアレンとエリスの二人は、凍てつく北の荒野へと、泥を這いずるような「人間としての生」の一歩を踏み出すのでした。

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小説を読もう2026/03/13
  • 現在の作品泥濘のレクイエム ―英雄の残火と、継ぎ接ぎの神魔―