あらすじ
ラーテス王国。
民衆から「生ける聖人」と称えられる聖枢機卿アルス・ヴェインは、日々孤児院の運営や弱者救済に奔走しながら、王国の裏側で腐敗を広げる秘密結社「七賢院」と戦っていた。
穏やかで誠実な青年だが、毎朝夜の記憶がなく、気づけば右手首に傷跡がついている——。
一方、王都の夜を支配する影の王「亡者・ロスト」は、七賢院の計画を一つずつ潰し、証拠を積み上げていた。
千年前の竜と人の契約から受け継がれた「根源魔力」を持ち、段階の概念を超える魔法使い。しかし彼もまた、昼の記憶が一切なく、知るはずのない場所や顔が頭に浮かぶことに違和感を覚えていた。
光と影、正反対の二人は互いの存在を知らないまま、同じ敵に向かって別々に動いている。その動きが奇妙に連動していることに気づいたのは、亡者を追う騎士団調査官セリア・ハルトだった。
王妃への毒殺未遂、孤児院への弾圧、南方に迫る伝説の古竜——積み重なる危機の中で、七賢院は二人の仲を引き裂く工作を開始する。