あらすじ
私は召喚秘境の白羊姫アリシア。
七歳の時、聖国の王太子レオンと召喚契約を結び、許嫁となった。
だが十年後――
彼は、魔力の低い白羊獣リディアに心を奪われてしまう。
私が完全な人型になろうとしたその時、彼は私に、人型化抑制剤を飲ませた。
魔力の源が引き裂かれる。
収まるはずだった白玉のような角が、皮膚を突き破り、鮮血が滲んだ。
彼は笑いながら私に囁くように言った。
「良い子だね。君は召喚獣だろう?
耳と尾がなくなったら形態が純粋じゃない。
ただこの羊の角は……目障りだ。削いでやろう」
リディアは魔力が低い。
羊角も生えず、完全な人型にもなれない。彼女は永遠に、羊の耳と尾を残した白羊獣のままだ。
もし私が白羊の姿を失えば、彼が夢中になっているリディアには似つかなくなるだろう。
瀕死の中で、私は未来を見た。その結末の中で、私は決意する。彼との召喚契約を、私の手で断ち切ると。
そして願った。
彼とリディアが共に幸せに生き、永遠の自由を得られることを。
けれど彼は言う。
「俺の召喚獣は、お前だけだ」と。