あらすじ
「印章フェチの私を追放?——どうぞ。その条約印、偽物なので国が滅びますわよ?」
王立文書館の印章管理官フィオナは、印影を見ただけで彫り師の体調まで言い当てる異常な「印章フェチ」だ。その偏執的なこだわりを無能なエリオット王子に疎まれ、隣国との和平条約の調印式という最悪のタイミングで国外追放を言い渡される。しかし、王子は知らなかった。フィオナが「彫りが0.02ミリ甘い」と指摘した偽造印章の裏に、受領した側が全責任を負うという王国破滅の特約条項が隠されていたことを。
追放されたフィオナは、印章の価値を正しく理解する帝国皇帝オズワルドに拾われ、その変態的な才能を「至高の技術」として開花させていく。一方、彼女という唯一のブレーキを失った王国は、詐欺的な条約を次々と結びし、国家予算を遥かに超える賠償金によって破産寸前へと追い込まれていく。
失って初めて、王国の命運が「たかがハンコ一つ」に握られていたことに気づいても、もう遅い。泣き喚きながら復職を乞う王子に対し、彼女が黄金のルーペ越しに突きつけるのは、救済の受理印か、それとも国家の終焉を告げる断罪の刻印か。