あらすじ

初めての作品だから多めにみてください。 ————————————————————— 「王者は赤コーナー、ケビン・クリオーセン!」 十年共にした古いテレビが、鼻息を荒くして叫んでいる。 画面の中で圧倒的な強さを誇る王者は、ただ静かに、対戦相手を「陸に上げられた鯉」のような阿呆な顔に変えていく。 十三歳の私は、その美しさに魂を奪われた。 自分もあんな風になれると信じて門を叩いた空手道場。しかし、そこで待っていたのは、人参のような顔をした先生の根性論と、フランスパンのように細い腕をした少年・桂(かつら)の後塵を拝する現実だった。 プライドが邪魔をして、叫ぶことすらできない。 顔の穴という穴から無様に液体を流しながら、私は悟った。 これは憧れなんて爽やかなものじゃない。 一度かかれば一生治らない、重篤な「病」なのだ。 少年の日の挫折から、泥臭い青年期、そして情熱の残り火に焼かれる中年期まで――。 格闘の神様に呪われた男の、三十年にわたる「クリオーセン病」の記録。

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カクヨム
カクヨム2026/03/13
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