あらすじ
夜、とあるマンションの一室。男はふいに目を覚ました。
首をカクンと下ろし、ぼんやりと正面を見つめながらゆっくりと瞬きをする。滲んだ視界の中で、チカチカと不規則な光が明滅している――テレビがついたままだ。どうやらソファに身を沈め、番組を眺めているうちにうたた寝してしまったらしい。
まだ夢と現実の境目をふらついているのだろう。頭は鈍く重く、四肢に力が入らない。まるで水面に仰向けで浮かび、波に身を任せているかのようだ。思考も感覚も曖昧に滲む、このどっちつかずの状態が妙に心地いい。
あくびの一つでもすれば頭はもう少し冴えるだろうが、それではもったいない。男はそう考え、ゆっくりと目を細め、重たいまぶたを半分だけ持ち上げたままテレビ画面を眺めることにした。