あらすじ
六甲山で自殺を図るが助かり、救急車で病院に運ばれる。
そこで恐ろしい体験をする。私が、一人寂しく色々考えている時だった。
突然、大正~昭和の初めの白い大きなヘヤーキャップを被り、同じく制服に身を包んだ女性看護師がやっと現れた。だが、その顔を見た途端に動く手で布団を被ったが、ガタガタ……と全身の震えが止らない。彼女達は皆、青みを帯びた青い血管が浮き出た白い顔をしていた。
眼は深紅に血走り、口は耳まで大きく裂け、歯が全て抜けた赤黒い歯茎でイッヒヒヒヒー……と大声で叫んで、美味しそうに輸血用のチューブを四つまとめて吸いながら、こちらにスローテンポで迫って来たのだから。
一、二分経った頃、怖々布団をめくってみると、全く同じ格好をした女性看護師が四人、私の顔を覗き込んでいる。しかも、例の呻きとも叫びとも区別出来ない、猫が出すようなダミ声を出していたのである。
私は反射的に動く腕を振り回し、彼女等を追い払おうとしたが、なかなか消えてはくれず、更に悪い事に、同じ仲間(?)が扉を開けずに音もなく入って来て、薄汚く狭い個室一杯に現れ皆同じ行動をし出したのである。
もう、振り払う力も気力も尽き果てた頃、激甚な恐怖に耐えきれず、思わず「ギヤァー……」と絶叫した途端、まるで濃い霧が唐突に晴れたように、部屋から彼女達の醜い姿は消滅していた。
ホット、胸をなで下ろすと同時に、今の現象は単なる夢にすぎないのか? それとも幻影、あるいは、何らかの原因(同時に、多数の死者が出た場合、例えば火事、空襲による爆死……など)で亡くなった人々の自縛霊だろうか?
この場所に成仏出来ない霊達の通り道(霊道)が存在するのか?
その後、なぜか私は蝶に変身していた。
私は蝶に変身したことに、ラッキーと浮き浮きした気分で、個室の中を恐る恐る、飛んでみた。
身も心も軽やかで、開いている窓から太陽の恵みに満ちた大空に舞ってみた。
羽を羽ばたかせながら、空中散歩と洒落こんでいると、いつの間にか六甲山の例の空を飛翔していた。
そんな私が目にした恐怖に満ちた状況とは?