あらすじ
『偏愛シリーズ 第一弾』
角を持って生まれた少女――千鶴。
村では「神の子」として崇められ、誰にも触れられることなく育てられてきた。
ただ一人を除いて。
兄の柊だけが、彼女に触れることを許された存在だった。
髪を梳き、食事を運び、世話をする。
それは幼い頃から続く、当たり前の役目のはずだった。
だが、千鶴が成長するにつれ、
柊の胸の奥に言葉にできない感情が芽生えていく。
それでも柊は、自分に律を課し続けた。
触れるのは世話のためだけ。
目を合わせすぎない。
この感情に名前をつけない。
なぜなら――
千鶴には、村に伝わる「還りの儀式」という運命が定められていたから。
儀式まで、あと七日。
神聖な存在として生きてきた少女と、
その傍らで十年間感情を押し殺してきた青年。
二人に残された時間は、わずかだった。
【偏愛シリーズ】
このシリーズは、
社会の「当たり前」から少しだけ外れた愛の形を描く物語群です。
年齢差、フェティシズム、孤独、依存、
死や欠損への執着――
社会の常識の中では
「理解されにくい感情」かもしれません。
しかし、そこにも確かに
誰かの本物の感情が存在しています。
このシリーズはそれを
肯定も否定もせず、ただ描きます。
美しく、静かに、
そして少しだけ残酷に。
読んだあと、
「この感情は何だったのだろう」と
ふと思い返してしまう物語。
── 愛の形は、ひとつではない。
それが「偏愛シリーズ」です。
本作品は、「偏愛シリーズ第一弾」になります。