あらすじ
卒業舞踏会の夜。
公爵令嬢エルミア・ヴァレンティアは、王太子セオドールから大勢の前で婚約破棄を告げられる。
彼が選んだのは、可憐で儚げな伯爵令嬢ノエリア。
突然“冷酷な悪女”に仕立て上げられたエルミアだったが、泣き崩れることも縋ることもしなかった。
ただ静かに婚約破棄を受け入れ、これまで当然のように与えてきた支援を止める――それだけで、王太子宮と社交界は少しずつ綻び始める。
一方、実家へ戻ったエルミアは、これまで誰かのために張りつめていた人生を見つめ直していく。
そんな彼女の前に現れたのは、寡黙で冷徹と噂される辺境伯カイゼル・ルヴァンシュ。
多くを語らず、けれど必要な時に必要な言葉だけを差し出してくれる彼の存在に、エルミアは少しずつ救われていく。
失ってから気づく元婚約者。
“選ばれたはず”なのに満たされない新しい婚約相手。
そして、ようやく自分の足で立ち、自分にふさわしい場所を見つけていく公爵令嬢。
これは、婚約破棄のあとで本当の居場所を取り戻した令嬢が、静かな愛を知る物語。