あらすじ
地球という星には数々の歴史が存在する。といっても、それはひとつの星からすれば、人間が自分たちの尺度で重要な出来事だったと記録し、記憶しているだけのことに過ぎないのだろうが、要は彼らにとって大事件だったということだ。
それは、聖なる神の子が復活を果たした時、
小国が世界を統一する寸前まで大きくなった時、
世界を巻き込む二度の大戦で何億もの人が無念にも命を落としてしまった時、
天変地異たる大災害が人々に恐怖を植え付けた時だったりする。
ある次元の地球にもそれらの歴史がある。でも、少しだけ違う所がある。
それは、夜を彩る星空が突如として消えてしまった時、
未知のパンデミックで一つの大陸が死の王国となってしまった時、
いくつもの国が突然海の底に沈んでしまった時、
それぐらいのことだろう。しかし、その星に住む人々は星空を奪われ、土地を奪われ、命を脅かされ、そんなときに何を想うのだろう。歴史を振り返るのか、何が原因だったのか思いにふけるのか。存在もしない神に明日も生きれることを願うのか。
ところで、歴史、というものは人類全体が持つものではあるが、一人の個人が所有するものでもある。
この星に住む紗織と名乗る少女にも歴史がある。彼女が思い浮かぶ記憶の一つは、道端で全裸の男二人組に会った時のことだ。ただ言えるのは、それは彼女の歴史の始まりであり、人類の新たな歴史の始まりでもあった。