あらすじ
「賞金首になった婚約者を捕まえれば、借金が帳消しになるんだって?」——社交界で「影のような女」と蔑まれてきたエリーゼは、婚約者ルシアンの横領事件により、実家が五十万ゴルドの借金を背負わされる。だが彼女は、ただの地味な令嬢ではなかった。五年間、帳簿係として領地経営を支え、税収を三年で二・七倍に増加させ、三カ国との通商協定の草案を書いた——その全ての功績を、婚約者に奪われながら。十二カ国語を操る元宮廷書記官にして、王国諜報部の訓練生。彼女は五年分の帳簿を一字一句暗記し、全ての不正を、全ての弱点を把握していた。「私は帳簿係です。収支は必ず合わせます」——蔑まれた婚約者が、今度は回収する側に回る。逃亡ルートも、闇商人も、資金洗浄の口座も、全て把握済み。五十万ゴルドの賞金首と、五十万ゴルドの借金。帳尻を合わせる時が来た。地味で無能だと見下されていた女の、鮮やかな逆転劇が今、幕を開ける。