あらすじ

「香りが先に、告白していた」 旅する調香師エリスには、香りで人の感情を読んでしまう。それが厄介で、人の多い街を素通りするように旅を続けてきた。 辺境の街で偶然居合わせた騒ぎの中、エリスはある男の香りを感じてしまった。 シダーウッドの統制された強さの奥に、白檀の、弔いに似た静けさ。 この人はもしかしたら、生き続ける理由をどこかに―― 翌朝、その男が現れた。王太子・アルドだった。 「同行しろ。外交儀礼に調香師が要る」 理由を聞いても、彼はそれ以上何も言わなかった。 エリスも、深くは聞かなかった。 ――ただ、あの香りを放っておけなかっただけ。 こうして旅が始まった。王族とは別世界の住人だとわかっている。完璧な仮面の彼の傍らは、自分には似合わない場所だとわかっている。 でも、香りは嘘をつかない。 エリスの前でだけ、アルドの仮面はわずかに揺れる。そのことに、当の本人は気づいていない。 知ってしまった孤独の重さを、エリスはただ香りに変えていく。癒すことしかできないけれど、それだけが自分にできることだから。 旅×身分差×一途溺愛×宮廷謀略の異世界ファンタジー。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/03/12
  • 現在の作品旅する調香師と仮面の王子様