あらすじ

晴れ渡るスカイブルーの空の下で抱きかかえてくれた温もり。  パパの指先が私の鼻の頭に触れるとき、世界はいつもサクラピンクの温かな光に包まれる。 「トントン。……おまじない、きいたな」  そう言って笑う二十七歳のパパの目尻には、ふにゃりと優しいシワが寄った。  その大きな手からはいつも、少しだけ湿った土と、ひまわりの種の匂いがした。  けれど、あの日――。  四歳の誕生日の夜、物置へ向かったパパは、二度と「本物」では戻らなかった。  瞬きを忘れた瞳。老いることのない完璧な笑顔。鏡の中の自分と無音で語り合う、温度のない背中。  七年間の空白を経て、ビデオカメラのノイズが暴いたのは、物置の暗闇で「三分十五秒」の孤独に閉じ込められた、泥だらけのパパの絶望だった。  その「おまじない」は、希望か、絶望か。  短くて長すぎた、孤独な三分十五秒。

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カクヨム
カクヨム2026/03/12
  • 現在の作品「そこに、いる。」