あらすじ
十年間、姉のために条約を書いた。
外交文書も、停戦合意も、通商条約の修正案も。
すべて姉の名前で提出された。
エストレア王国の第二王女セレナは、前世の記憶を持つ。
政治記者だった三十二年の人生で培った情報戦の嗅覚と、今世で磨いた外交の腕。
その全てを、黒子として姉に捧げてきた。
ある日、セレナは反逆の濡れ衣を着せられ、北の塔に幽閉される。
偽造された証拠。側近の讒言。姉は、妹の筆跡すら知らなかった。
だが幽閉された塔の中で、セレナは気づく。
この国には二百年間使われなかった法律がある。
貴族たちの信任を得れば、王位継承者を変えられる制度が。
石壁の向こうから届く密書。
味方になる貴族たち。
そして、セレナの外交力を唯一正当に評価していた隣国の王子。
黒子が表舞台に立つとき、この国の形が変わる。