あらすじ
二〇二九年、東京。
神経科学の飛躍的進歩により、「七分間記憶断裂症候群(セブンミニッツ・ブランク)」と呼ばれる稀有な脳疾患の存在が確認された時代。極度の感情的衝撃を受けた際、直前の七分間の記憶だけが完全に消失する——世界でわずか数百人しか確認されていないこの症状の持ち主である大学院生・柊 凛花(ひいらぎ りんか)は、ある朝、自室で目を覚ます。
手には乾きかけた血。リビングには見知らぬ男の遺体。そして、ちょうど七分間分の記憶が、跡形もなく消えていた。
「——私が、殺したの?」
凛花の事件を担当することになったのは、警視庁科学捜査研究所に所属する若き法心理捜査官・霧島 蓮(きりしま れん)。「記憶断裂犯罪」の専門家であり、冷徹で感情を見せない彼は、凛花の失われた七分間を心理的手法で再構築しようとする。
しかし、記憶の破片を辿るたびに浮かび上がるのは、凛花の有罪を示す証拠ばかり。それでも蓮は、凛花の瞳の奥にある「何か」から目を逸らせない。
やがて二人は気づく。蓮もまた、同じ「セブンミニッツ・ブランク」の持ち主であり——あの夜、彼にも七分間の空白があることを。
互いの消えた記憶が重なるとき、事件の真相は反転する。 そして、二人の間に芽生えた感情は、真実によって試される——。
「あなたを信じたい。でも、私の記憶がそれを許さない」